相続税は亡くなった日の翌日から10カ月以内に納税者自身が自己申告し納税する必要があります。
税務署が相続税を計算して納付書を送ってくれるわけではありません。ここでは、この申告期限が過ぎてしまった場合のペナルティや留意点を解説します。
目次
相続税の申告期限は10ヵ月
相続税の申告期限は「亡くなった日の翌日から10ヵ月以内」です。
相続税の納付期限に関しても、申告期限と同じく亡くなった日の翌日から10ヵ月以内です。
例えば、2023年9月2日に亡くなった場合の相続税の申告・納付期限は2024年7月2日となります。
※申告期限の日が土日祝日の場合は、翌日が申告期限となります。
相続税の申告と納付は、期限の10ヵ月以内であれば、別の日で問題ございません。
相続税の申告期限が過ぎた場合のペナルティ
相続税の申告期限が過ぎてしまうといくつかのペナルティが課されます。
それぞれのペナルティについて解説します。
ペナルティ① 延滞税が課税される
相続税の申告期限が過ぎてしまうと、納付期限も過ぎることとなり、「延滞税」の対象となります。
延滞税の年利についてそれぞれ解説します。
通常は年利2.4%
期限を過ぎてから納税した場合、延滞税が課されます。
期限の翌日から納付した日までの日数に対して年利2.4%(令和4年)の利率で課されます。
延滞税は時の経過とともに税額が増えていきますので、一日も早く申告・納税を済ませましょう。
納税だけが遅れて2カ月経過すると年利8.7%に!
期限後に申告のみが完了して納税だけが更に遅れた場合、期限後申告書を提出してから2か月経過以降の延滞税の利率は年利8.7%(令和4年)に跳ね上がります。
期限後の申告の際は納税もなるべく同時に行いましょう。
延滞税の利率は毎年変わる!
延滞税の利率は年によって変わりますので、実際に申告する際は、その年の利率を国税庁HPで確認しましょう。
参考:No.9205 延滞税について|国税庁 (nta.go.jp)
ペナルティ② 無申告加算税が課税される
期限を過ぎてから申告した場合、無申告加算税が課されます。
無申告加算税は自主申告の場合と税務調査等で税務署から指摘されて申告した場合とで税率が異なります。
税務署に指摘される前になるべく自主申告しましょう。
自主申告した場合
納税額の5%
税務調査等で税務署から指摘されて申告した場合
納税額50万円までの部分 納税額の15%
納税額50万円を超える部分 納税額の20%
ペナルティ③ 税務調査で悪質と判断された場合、重加算税が課税される
申告期限が過ぎてしまった場合の最大のリスクは重加算税です。
税務調査で申告していないことが悪質である(仮想隠蔽)と判断された場合、無申告加算税に代えて重加算税が課税されます。
重加算税の税率は40%です。
申告期限が過ぎてしまった場合の留意点
続いて、相続税の申告期限が過ぎてしまった場合の留意点について解説します。
期限後でも申告書を提出すれば特例は使える
申告期限が過ぎてしまっていても、期限後申告書を提出すれば、「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」については適用が可能です。
どちらも税額が大幅に減額される特例です。期限を過ぎたからと諦めずにしっかり活用しましょう。
原則、延長はできない
申告期限の延長は原則認められていません。
以下のような条件に当てはまる場合には認めてもらえる可能性がありますが、申告期限を知らなかった、忙しかった等の理由では延長できません。延長できる場合の期間は最大で2カ月です。
- 認知、相続人の廃除、相続の回復等の事由により相続人に異動が生じたとき
- 遺贈に係る遺言書が発見されたとき
- 相続人が失踪したとき
- 災害などやむを得ない理由があったとき
- 申告期限1か月以内に退職金などの支給額が確定したとき
- 相続人となる胎児がいるとき など
まとめ
相続税の申告期限が過ぎてしまった場合にはペナルティが課されます。
延滞税は時の経過とともに税額が増えていきます。
無申告加算税は申告する前に税務署に指摘されると税負担が更に重たくなります。
一方で、申告期限が過ぎてしまっていても特例は使えます。
慌てずに正しい方法で、なるべく早く申告・納税を済ませましょう。