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相続手続きに戸籍謄本が必要になるのはどんな場合?コピーでもいいの?

相続手続きでは戸籍謄本が必要になる場面が多く、ほとんどの場合で原本提出が求められます。

ただ、具体的にどのような場面で必要なのか、コピーでも対応可能なのかと疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では、相続手続きにおける戸籍謄本の役割やコピーでの対応の可否、その取得方法について詳しく解説します。

相続手続きにおける戸籍謄本の役割

相続手続きを行う際、戸籍謄本は重要な証明書類の一つです。

戸籍謄本は、被相続人が亡くなった事実の確認、相続人や法定相続分を確定するための役割を持っており、相続手続きを円滑に進めるためには欠かせません。

被相続人の死亡の確認

相続人が相続手続きを開始するためには、まず被相続人が亡くなったことを証明する必要があります。

そのため、金融機関や登記などの手続きには、被相続人の死亡の事実が記載された戸籍謄本(または除籍謄本)の提出が求められます。

戸籍謄本は死亡届を提出した後、市区町村役場で更新されますが、更新には1〜2週間ほどかかる場合が多いです。

すぐに取得できるわけではないため、事前に役所の発行状況を電話などで確認しておくとスムーズです。

相続人の確定

相続手続きを進めるには、亡くなった方の相続人が誰なのか、相続人は何人いるのかを確定する必要があります。

そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、被相続人の親族関係を確認しなければなりません。

また、戸籍をさかのぼることで、過去に認知された子(例えば、内縁関係の妻との間の子)や養親・養子関係の有無等を確認することができます。

思わぬところで相続人が見つかるケースもあり、万が一相続人を誤ってしまうと手続きが無効となるリスクがあるため、慎重に確認する必要があります。

相続手続きに戸籍謄本が必要になる場合

戸籍謄本が必要となる相続手続きには様々なものがありますが、主に下記のような場合で必要になります。

  • 相続人調査
  • 相続放棄または限定承認
  • 相続税申告
  • 相続登記に関する手続き
  • 預貯金や有価証券の名義の変更
  • 遺言書の検認

一つずつ、確認していきましょう。

相続人調査

相続人調査では、相続人を正しく確定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要になります。

遺産分割協議を行う際は、相続人全員の同意を得る必要があるため、相続人を漏れなく確定することで、遺産分割の手続きを進めることができます。

なお、亡くなった方に子・直系尊属がおらず、兄弟姉妹が財産を相続する場合には、戸籍の収集に時間がかかることが多いです。

理由としては、亡くなった方の両親や祖父母(父方、母方のいずれも)が亡くなっている事実まで確認する必要があり、その分、取得すべき戸籍謄本も増えるためです。

このような場合、戸籍謄本の取得手続きを早めに行うことが肝要です。

相続放棄または限定承認

相続放棄、限定承認の手続きをする場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および相続人本人の戸籍謄本等(提出書類は被相続人との関係性等により異なります)を提出し、家庭裁判所に申し立てる必要があります。

相続放棄は、亡くなった方に多額の借金があった場合に、財産も債務もその一切の相続を放棄する手続きであり、限定承認は相続した財産を限度に債務を弁済する(相続する)手続きです。

どちらの手続きも被相続人が亡くなって3か月以内に行う必要があるため、戸籍謄本を早めに取得しておくことで、手続きがスムーズになります。

相続税申告

相続税申告をする際、添付書類として被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および相続人全員の戸籍謄本を税務署に提出します。

後述しますが、この場合の戸籍謄本は、コピー(写し)での代用も可能です。

参考:E18.pdf (保護) 2.(1)一般の場合 ① を参照

相続登記に関する手続き

不動産を相続する場合、相続登記の際に被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および相続人全員の戸籍謄本を法務局へ提出します。

これにより相続人を確定した後、遺言書や遺産分割協議書などで誰がどの不動産を相続するのかを確認し、登記手続きを進めます。

なお、2024年4月から相続登記が義務化されました。

これにより、2024年4月1日以降に不動産を相続した方は、3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

登記を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があるため注意しましょう。

 

預貯金や有価証券の名義変更

亡くなった方の銀行口座や証券口座を解約したり、相続人の名義に変更したりする際にも、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および相続人全員の戸籍謄本の提出を求められます。

なお、多くの金融機関では、返却を希望すれば戸籍謄本の原本を返してもらえます。

これを「原本還付」といいます。原本還付を希望することで、戸籍書類一式を使いまわして手続きを行うこともできます。

遺言書の検認

自筆証書遺言、秘密証書遺言が見つかった場合には、家庭裁判所にて検認の手続きが必要になることがあります。

この検認手続きの際も、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および相続人全員の戸籍謄本の提出を求められます。

自動車の移転登録

被相続人が所有していた自動車を相続する場合、運輸支局で名義変更の手続きを行う必要があります。

その際、被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本)や相続人全員の戸籍謄本を提出し、相続人であることを証明します。

また、相続人が複数おり、そのうち代表相続人が手続きをする場合には、遺産分割協議書や印鑑証明書等もあわせて提出を求められます。

ちなみに、亡くなった方の名義のまま事故に遭ってしまうと、自身の任意保険では補償されない場合がありますのでご注意ください。

 

戸籍謄本のコピーで代用可能な手続き

相続手続きにおいては、基本的には戸籍謄本の原本提出が求められます。ただし、相続税申告の際の添付書類については、戸籍謄本のコピー(写し)での提出が認められています。

反対に、他の相続手続きでは現状、コピー(写し)での対応が認められていません。

金融機関や法務局の登記の手続きなど、複数の手続きを同時に並行して進めたいときには、戸籍謄本の原本を何通も用意する必要が出てきます。

このような場合、法務局にて「法定相続情報一覧図」を取得することをお勧めします。

法定相続情報一覧図は、亡くなった方の相続人を一覧図にしたもので、法務局にて作成が可能です。

作成時には戸籍謄本等の原本が必要ですが、作成後は各金融機関や法務局への提出書類として戸籍謄本等の代わりに使用することができます。

作成手数料は無料、複数通の発行も容易ですので、亡くなった方が複数の金融機関に預金や証券口座をお持ちの場合は、法定相続情報一覧図の活用をご検討ください。

 

戸籍謄本はどうやって取得する?

戸籍謄本は、近年、取得方法が大きく変わり、さらに便利になりました。

ここでは、戸籍謄本の取得方法やその種類、取得にかかる費用について確認していきましょう。

 

 戸籍謄本の取得方法

従来、戸籍謄本は本籍地の市区町村役場でのみ発行可能でしたが、2024年3月1日からは最寄りの市区町村役場にて、他の市区町村の戸籍謄本を一括して取得することが可能となりました。

これを「広域交付制度」といいます。

広域交付制度により、被相続人や相続人の本籍地が遠方であったり、それぞれの本籍地が異なる場合であっても、各市区町村の窓口で複数回にわたって手続きをする必要がなくなったため、戸籍謄本の取得にかかる時間と労力がかなり軽減されました。

なお、本人の戸籍謄本だけではなく、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)の戸籍謄本も取得が可能です。

ただし、兄弟姉妹の戸籍謄本については広域交付制度は利用できません。したがって、従来通り、本籍地の市区町村役場にて取得いただく必要があります。

参考:001409033.pdf 広域交付制度についてのパンフレット(法務省民事局)

 戸籍謄本の種類

戸籍謄本には、大きく分けて3つの種類があります。

  • 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
  • 除籍全部事項証明書(除籍謄本)
  • 改製原戸籍謄本

戸籍全部事項証明書は、各市区町村において保管されている一番新しい戸籍のことを指します。

「現在戸籍」とも呼ばれます。

除籍全部事項証明書は、戸籍謄本のうち、その戸籍の中に記載されていた方が全員いなくなった戸籍のことを指します。

除籍とは、戸籍に記載されていた方が戸籍から除かれることをいいます。

除籍の事由には、結婚により新しい戸籍に入るため従前の戸籍から除かれる、死亡により戸籍から除かれる、などがあります。

改製原戸籍謄本は、法律の改正により様式が変わる前の戸籍、つまり、古い様式の戸籍のことを「改製原戸籍」といいます。

日本の戸籍法は大きな改正が何度かあり、その度に戸籍の様式が大きく変わっています。現在はデータ化されている戸籍も、昔は手書き、紙面で保管されていました。

なお、これら3つの戸籍はそれぞれ謄本と抄本に分かれ、謄本は同じ戸籍内の全員が、抄本は同じ戸籍内の一部の方が記載されたものとなっています。

 戸籍謄本の取得にかかる費用

戸籍謄本の取得手数料は、1通あたり450円〜750円が一般的です。

戸籍謄本(=現在戸籍)は450円、除籍謄本や改製原戸籍は750円となっている場合がほとんどです。

また、郵送での請求の場合は、取得手数料分の定額小為替や郵便料金、返信用封筒の準備も必要です。

役所の窓口で取得する場合は即日発行されることが多いですが、郵送の場合は届くまでに1週間ほどかかることがあるため、余裕を持って手続きを進めることが大切です。

例)名古屋市の場合:https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000011518.html

 

まとめ

戸籍謄本は、相続人の確定や財産の名義変更など、あらゆる手続きにおいて必要となります。

また、ほとんどの場合で原本提出が求められます。

預金口座の名義変更や不動産の登記変更など、複数の手続きを同時並行で進めたい場合には、法定相続情報一覧図の取得についても検討するとよいでしょう。

なお、税理士や司法書士、行政書士などの専門家であれば、ご依頼された業務の範囲内で戸籍謄本の代理取得が可能です。不安な場合はぜひご相談ください。

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