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税務署から「相続税についてのお知らせ」が届いたらどうする?

親族が亡くなった場合、ある日突然、「相続税についてのお知らせ」という書類が税務署から届くことがあります。

急にこのような書類が届いたら、不安に思う方もいるかもしれません。

今回は、「相続税についてのお知らせ」がどのような書類なのか、もし届いたらどう対処すればよいかについて解説します。

 

税務署から「相続税についてのお知らせ」が届く人はどんな人?

「相続税についてのお知らせ」は、全ての世帯に届くわけではありません。

一般的に、被相続人の財産(預貯金、不動産など)が相続税の基礎控除額(※)を上回る可能性がある場合に送付されます。

つまり、「相続税申告が必要かもしれない」場合に「相続税についてのお知らせ」が届くということです。

なお、送付先は基本的に亡くなった方の住所となります。

 

(※)基礎控除額とは、相続税の計算において、課税対象となる財産の金額からあらかじめ差し引かれる非課税枠を指します。

 

「相続税の申告等についてのご案内」との違い

 

「相続税についてのお知らせ」とは別に、「相続税の申告等についてのご案内」という書類もあります。

こちらは「相続税申告が必要となる可能性がより高い」場合に、税務署から送付されます。

したがって、封筒の中には案内のほかに、相続税のあらまし(相続税の仕組みについて簡単に説明された数枚のちらし)、相続税の申告書、相続税の申告要否検討表などの書類が入っており、相続税申告が必要かどうかについて確認したうえで返答を促す内容となっています。

 

この場合、相続税がかかる場合には相続税申告を行い、かからない場合には「相続税の申告要否検討表」に必要事項を記入し、税務署へ返送します。

なお、「相続税の申告等についてのご案内」が来る前に相続税がかかることが既に分かっており、相続税申告の準備を進めている場合には、「相続税の申告要否検討表」の記入、返送は不要です。

参考:【相続税の申告要否判定コーナー】-相続税の申告要否検討表

「既に相続税申告の手続きを進めているお客様で、税務署から通知が届いたのですが何か対応は必要ですか」とお問い合わせをいただくことがありますが、相続税申告を行うのであれば、特に対応の必要はございません。ご安心ください。

 

税務署からの書類はいつ届くのか

 

「相続税についてのお知らせ」や「相続税の申告等についてのご案内」は、相続が開始して(親族が亡くなって)半年ほど経った頃に届きます。

 

相続税の申告期限は、相続の開始から10か月以内となっているため、書類が届いた時点で申告期限まで残り3〜4か月しかありません。

 

相続税申告は、相続税の計算のために戸籍謄本や不動産登記事項・預金の異動明細など、様々な書類を集めることになります。

したがって、税務署から書類が届いてから申告手続きを進めるとなると、早急に準備をする必要があるため、なるべく早い段階で専門家にご相談いただくことをお勧めします。

 

税務署はどうやって送付先を決めているのか

 

税務署(国税庁)は、国税総合管理(KSK)システムというネットワークシステムにより、日本全国一人一人の収入や財産などをおおよそ把握しています。

亡くなった方の死亡届が市区町村に提出されると、市区町村は税務署にその旨を通知し、税務署はKSKシステムのデータをもとに「相続税についてのお知らせ」や「相続税の申告等についてご案内」を送付します。

 

税務署から「相続税についてのお知らせ」が届いたらすること


「相続税についてのお知らせ」が届いた場合、最初にすべきことは、亡くなった方の財産額を確認し、相続税申告の必要性を判断することです。

その結果に応じて、適切な手続きを進めることが重要です。

 

「相続税についてのお知らせ」が届いたにもかかわらず申告を怠ると、ペナルティとして延滞税や無申告加算税が課される可能性があります。

また、税務調査の対象となり、余計なトラブルを引き起こす恐れがあります。

 

次の章より、相続税の申告の必要性と申告方法について詳しく解説します。

 

相続税申告が必要かどうかを確認する


「相続税についてのお知らせ」を受け取った場合、まず行うべきことは、亡くなった方の財産額を確認し、相続税申告が必要かどうかを判断することです。

 

このお知らせには、亡くなった方の財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に、財産を取得した方が相続税の申告と納税をする必要がある旨が記載されています。

基礎控除額は、相続税の課税対象となるかどうかを判断する基準となるため、これを超えているかどうかの確認が最優先です。

 

例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円です。

もし、亡くなった方の財産が預貯金4,000万円と土地評価額2,000万円の合計6,000万円だった場合、基礎控除額を超える1,800万円が課税対象となります。

この場合、相続税申告が必要です。一方で、財産が基礎控除額以下の場合には、相続税の申告は不要となります。

このお知らせを受け取ったからといって直ちに返送すべき書類はありませんが、亡くなった方の財産額を確認し、相続税がかかる場合には相続税申告と納税をすることになります。

 

相続税がかかる場合は相続税申告


相続税の申告期限は、相続の開始から10か月以内となっています。

相続税は、法人税や消費税などの他の税目とは違って、原則、申告期限の延長はできません。

 

したがって、「相続税についてのお知らせ」が届いてから、相続税がかかると判明した場合には、前述の通り、早急に申告準備を進める必要があります。

 

亡くなった方の財産を全て把握しており、明らかに基礎控除額を超えない場合には申告の必要はありませんが、「もしかしたら他に財産があるかも」「不動産を所有しているがその評価額が分からない」など、相続税の計算に少しでも不安がある場合には、早めの段階で専門家に依頼することをお勧めします。

 

なお、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例等、特例の適用によって相続税がかからない場合は、相続税の申告が必要となりますのでご注意ください。
(特例の適用により相続税はかからないため、納税は発生しません。)

 

相続税を支払う必要があるのに無視をするとどうなるのか?


相続税を支払う必要があるのに無視すると、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課されるほか、税務調査の対象となるリスクが高まります。

最悪の場合、重加算税が科される可能性もあるため、早急な対応が求められます。

 

次の章より、それぞれのリスクについて詳しく説明します。

 

税務調査が入る可能性がある


前述の通り、税務署はKSKシステムにより、日本全国一人一人の収入や財産などをおおよそ把握しています。

相続税を支払う必要があるにもかかわらず、申告・納税をしていないと判断された場合には、税務調査が入る可能性があります。

亡くなった方の財産額が大きくなればなるほど、税務調査が入る可能性は高くなります。

 

相続税の申告漏れで一番多いのは現金・預貯金と言われています。

実際、令和4事務年度の国税庁の調査資料では、申告漏れの財産の半数以上である69.1%を占めています。

現金で持っているから大丈夫、と思っていても、税務署は預貯金の流れや入出金を把握しています。隠し通すのは不可能と言えるでしょう。

 

参考:国税庁_令和4事務年度における相続税の調査等の状況


また、税務調査でこのような申告漏れが発覚した場合には、後述のようにペナルティが課されることになります。

そうなれば、本来支払うはずだった相続税額よりも高い税額を支払うことになってしまいますので、相続税がかかると判明した場合は申告期限までに申告しましょう。

 

ペナルティが課される


仮に、相続税を支払う必要があるにもかかわらず、税務署からの通知を無視した場合、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課せられることがあります。

①延滞税:納付期限までに納税をしなかった場合に課されるもの

②無申告加算税:申告期限までに申告をしなかった場合に課されるもの

③重加算税:仮装、隠ぺいなど、悪質な事案であると判断された場合に課されるもの

詳しい情報は、こちらの記事に記載しておりますのでご参照ください。

相続税の申告期限が過ぎた場合のペナルティと留意点 – ミライズ税理士法人

まとめ:税務署から「相続税についてのお知らせ」が届いたら、まずは税理士に相談するのがおすすめ


今回は、税務署から「相続税についてのお知らせ」がどのような書類なのか、届いた場合にはどう対処すればよいかについて解説しました。

 

税務署から急に書類が届くと、びっくりされる方も多いかと思います。

ご自身で相続税申告が必要かどうか判断できない場合や、相続税の計算に不安がある方は、専門的な知識と経験を持つ税理士へご相談いただくことをお勧めします。

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